2013年7月26日金曜日

ワインセラー、ワインクーラー

とっても暑い日が続いております。こんな気候の7月ってパリでは珍しいような…。

今年は、フランスは全国的に6月半ばくらいまで太陽の出る日が少なく、気温も低くて、生産者さんは口をそろえて「ブドウの発育がいつもより遅い」と言っていました。地域によっては雹の被害があったらしい(特にヴーヴレイがひどかったとよく聞きます)。
でも、本格的に夏になってからは毎日太陽いっぱい。先日会ったシャンパーニュの生産者さんは「このまま良い天気で暑い日が続けば、素晴らしいヴィンテージになるだろう」と言っていました。楽しみ!

で、こんな暑いときは、お店のクーラー用ワインセラー(つまりワイン用冷蔵庫)で冷やしておいたワインがよく売れます。仕事からの帰りがけとか、友達のうちに遊びに行く直前などに、冷えていてすぐ飲めるものを買いに来る人が多いのです。ロゼ、白、スパークリングはもちろん、軽い赤も冷やしておきます。
わりと大きめのワインセラーなのですが、ついあれもこれもと入れてしまい(そのうえ店主が自分で飲みたいやつやテイスティング用のも入れている)いつも満杯になっています。入れ過ぎはよくない…と思いつつ、各棚に瓶が山積み。
先々週、私が1人で店番していたとき、お客さんに冷蔵庫から何本か出して見せようとしたところ、山が崩れて前後へ落ちてしまいました。前へ落ちたワインは1本だけ、木の床にあたったけれどセーフ。その他、ガツンと背板に当たったものが3、4本。こんな風に山が崩れて後ろに当たることはわりとしょっちゅうあるのです。とりあえず、割れたものはなかったのでホッとしました。
ところが…数分後、いきなりアラームがピーピー鳴りだし、どうやって止めたらよいのかわからない!そのうえ、こういう時に限ってお客さんが立て続けに入ってきて、レジ前に人が並ぶ状態に…。
なんとか電源オフにするスイッチを見つけてアラームは止まりましたが、それまでピーピーいう音が勘に障るし接客に追われるし、かなり焦りました。

どこかのスイッチ押したりして調整したらなおるのかなー…と淡い期待を抱いていたのですが、その後、冷蔵庫は回復の兆しなし。どうもサーモスタットが動かなくなってしまったようです。
この暑い時期にワインが冷やせないと困る〜。どうしてこういう大事なときに壊れるのか。(こういうの、世間の法則のような気がします…。)
店主がカスタマーサービスに何度も電話をしているようだけど、なかなかつながらないそうで、修理に手間取っています。

なので、ここ最近、午後になると近くのカフェに氷をもらいに行き、ワインクーラー(バケツ)に入れて冷やすという古典的(かつ確実な)方法を用いています。ワインをバケツから出すときの氷の崩れる音と水のはじける音が耳に心地よく、また、ひんやり冷えた瓶が手にも見た目にも気持ちよく、涼を感じます。
おうちで飲むときも、こうして冷やすと気分も出てもっと美味しく感じるかも。

でも、一辺にたくさんの瓶を冷やすことができないのと、かさを増やすため水も入れるのでラベルがはがれそうでちょっと心配…などという難点があり、お店としてはやっぱり冷蔵庫で冷やす方が実用的。
店主が夏休みに出るまでになおるのかなあ…。
(多分無理。)

2013年7月14日日曜日

暑い日の軽い赤3つ

パリは7月に入って暑い日が続いています。
夏になるとスパークリングやロゼ、白がよく売れますが、やっぱり赤も根強い人気。でも暑い時は、どっしり濃厚な赤より軽いのが飲みたい。

ということで、ここ数週間のうちで飲んだ軽い赤を3つご紹介。

まずは6月半ば、気温が上がってきたときに飲んだ、セバスチャン・ボビネ&エメレン・カルヴェズ「ハナミ」2012年。
Sébastien Bobinet et Emeline Calvez "Hanami" 2012
うーん?「ハナミ」ってやっぱり「花見」のことよね??
花見の季節にはもう遅いけれど、品種はカベルネ・フラン、軽くフルーティ、でもタンニンはそれなりにあって、暑いときの食事のお供に良いのではないでしょうか。特に少し冷やすと(といっても白みたいにキンキンに冷やしてはダメですが)ボディがひきしまって美味しいです。以前飲んだ「グレタ・カルボ」と同じ生産者で、同じくマセラシオン・カーボニックですが、ヴィンテージが違うのと、こちらは醸造がもう少しシンプル(醸造期間が短く、樽ではなくタンク)らしいです。

6月末、日の長い夏の夕暮れに飲んだ、レ・カイユー・ドュ・パラディ(クロード・クルトワ)「ナカラ」2011年。
Les Cailloux du Paradis (Claude Courtois) "Nacarat" 2011
以前から好きなキュヴェ。品種は、たしかガメイだったと思いますが…ヴィンテージによって違う品種も入っているかもしれない。クロード・クルトワは「品種の博物館」みたいに、畑にたくさんの種類のブドウを持っていると言うし…。
ミネラリティがあって、タンニンも軽妙で、アルコール度も低いし、スルスル飲める。しっかり食べるときよりも、茹で野菜やサラダなどのさっぱりした前菜に合うかな。もちろん、アペリティフにも。

そして、つい最近飲んだ、ムーレシップ(アラン・アリエ)「ピチュネ」2012年。
Mouressipe (Alain Allier) "Pitchounet" 2012
6月に到着した新しいヴィンテージをまだテイスティングしていなかったので、数日前、店主とお店で一本開けてみました。抜栓直後は人口香料を加えたのではないかと疑ってしまうくらいに強いフローラル(バラ)な香り。口に含むと、アルコール度が高いのは感じますが、タンニンのひっかかりが全然なくて、ブラインドで飲んだら「ロゼ」と言ってしまいそうなくらい軽い赤。品種はサンソーとグルナッシュで、以前はサンソー中心でしたが、2012年は半々になっていて、「ロゼみたい」と言う私のコメントに対して、店主は「でもやっぱりグルナッシュの重みが感じられる」という意見。アルコール度が前年より高い(前年はたしか11,5度、今年のは13度)のも、グルナッシュの比率が多いせいかな?時間がたって段々と落ち着いてきたら、ちょっと苦みのある、いつもの「ピチュネ」っぽさが出てきました。多分、数週間から1ヶ月、そしてまた数ヶ月たったら、変化していくだろうなーという感じ。
で、これを昨日の夜、うちで開けてみたら、香りは前回ほど強烈ではなくて、いつもこのキュヴェに感じる苦みとか、多少のタンニンもだいぶ出てきていて、印象がまた違っていたのでびっくり…。ワインってわからないもんだなあー。
夏野菜のお料理(ラタトゥイユとか茹でアーティチョークとか)に合いそう。



2013年7月9日火曜日

夏だから…というわけではないけれど、白ワイン3つ

5月、6月と不安定なお天気が続き、太陽の光を浴びる日が少なかったパリですが、ここへきて急に真夏!
そんな7月初旬の日曜、夫の仲良しの友達、フィリップをうちによんで、アペリティフ&ディナー。フィリップは今私が働いているワイン屋の古くからの常連で、実は彼が「良いワイン屋があるよ」と教えてくれたのです。ワインが好きなうえにお店においてあるワインもよく知っているから、「まだ飲んだことがなさそうなものにしよう」と、セレクトにちょっと気を使いました。
ってことで、お店に入荷したばかりのワイン、結局、私も飲んだことないものばかり。

アペリティフに、店主オススメのイタリアのスパークリング。
Matteo Furlani "Sur Lie Alpino" 2012 (?)
マッテオ・フルラニ「シュール・リ・アルピノ」2012年(多分)。
インポーターさんがテイスティングでお店に来たときに私はいなかったので詳細があまりわからないのですが、北イタリアのトレント付近、高度な山地で栽培されたブドウで造られているそうです。店主は「おもしろいワイン」と言っていましたが、本当、ちょっと変わってる。グレープフルーツジュースのようなフレッシュなフルーティさの裏に塩っぽさがあり、アルコール度軽め、気持ちよくゴクゴクと飲めて、こんな夏日にぴったり。

さて、テーブルについて、前菜にアーティチョークとグリーンピース。
今回は紫色のこぶりなアーティチョークでしたが、大きいやつを丸ごと茹でて、一枚一枚葉っぱをはがし、ドレッシングにつけて歯でしごきながら食べるのが好き。でも、食べるたびに「こんな食べ方、いったいどうやって考えついたんだろう」と不思議に思ってしまう。
グリーンピースは固めに茹でて、野菜のスープストック(日本だったら昆布出汁なのだけど)に浸し、冷やして食べました。
これに合わせて、ワインはジャン=イヴ・ペロンの「ラ・プティット・ローブ」2011年。
Jean-Yves Péron "La Petite Robe" 2011
品種はジャケール。ジャン=イヴ・ペロンのワインの中でもシンプルに造っているキュヴェではないでしょうか。でもやっぱり造り手としての手腕を感じさせる。レモンのような柑橘系のさっぱりとした酸、アルコール度10.5%と口当たりも軽め、でもハチミツっぽさや樹脂の香りがあり、風味はしっかりあるワイン。今回のような軽めな前菜やアペリティフ向き。

そうそう、アペリティフと前菜の間に、前の晩に開けて飲み切らなかったジャン・モーペルテュイ「ピュイ・ロン」2007年。
Jean Maupertuis "Puy Long" 2007
開けたては、石油っぽい香りで(夫は「掃除に使う蜜蝋(ワックス)」と言っていましたが)でかなり閉じていましたが、樽熟成独特のまろやかな香りもあり、シャルドネ種の力強い白。2007年ですから、だいぶ古いヴィンテージです(…って、店主が急に地下倉庫から発掘してきたんです…)が、全然衰えてない、というより、美味しい。翌日でもまだ少し石油っぽさはありましたが、グラスに入れて少したったらさすがにほどけてきて、なめらかで飲みやすくなりました。嫌味がなく柔和。こちらは食事向きワインかな。クリーム系ソース添えの白身魚とか鶏肉とか。

メインにもう一本飲んだのですが、今日はとりあえず白3つ。

夏らしくショートパンツに半袖シャツ、帽子をかぶって、芍薬の可憐な花束を持ってきてくれたフィリップ。そんな姿を街で見かけたらなかなかカッコイイだろうなーと想像してしまいました。
Merci Philippe!

2013年7月2日火曜日

今日のワイン : ヒトミワイナリー "San Soufre Rurale Dela Blanc" Exra Dry 2010

諸経緯で、Saké Tastingで知り合った日本酒インポーター「酔い心地」さんからテイスティング用に頂いた日本のワイン。
ヒトミワイナリーの「サン・スッフル・リュラル・ドラ・ブラン」2010年。
…と、こういうカタカナ表記で良いのでしょうか?
っていうか、これってフランス語……??

SO2無添加、白のスパークリング。「にごりワイン」ということで、細かい澱が入っています。スパークリングなので、開栓時にこの澱が上がってくるかな?と思ったけれど、そうでもない。瓶の上の方はわりと澄んでいました。
品種はデラウェア。フランスでは作らない品種なので、一緒に試飲していた店主や友達、一同びっくり。日本では結構使われているみたいですね。
ミュスカみたいにフローラルでフルーティな香りがいっぱい。口に含むと、南国フルーツ(マンゴーとかパイナップル)のような風味も感じられます。全体的にとてもフルーティでさわやか。「Extra Dry」と書いてあるけれど、ほんのりした甘みがあって、酸味の強いドライなフランスの白ワインよりもずっとやわらか。
瓶の最後、澱の部分を飲んだ店主が「澱も一緒に飲めて、味がまた変わるのが面白いね」と。そういえばこれ「にごり」なんだったー。だから、飲めるような澱なのは当たり前なのかも。(フランスの濾過していないワインの澱だと、酒石なんかが混じっていることが多いし、なるべく飲まないのですけれど。)その澱の部分は、海っぽい風味があったそうです。
また、店主は「なんとなく湿った気候な感じ」という感想ももらしていました。たしかに日本はフランスに比べ、ずっと湿気が多いですね。それに、ワイナリーは琵琶湖の近くらしいので、もしかしたらそれも関係あるかも?(しかし、私には全然そんなことまでわからない!さすが店主、すごいなーと感心してしまった…。)
店主は「面白いからお店に入れてもいいかな」なんて言っていたけど、うーーん、お値段が…日本の倍くらいになってしまうから、どうかなあ。