2013年12月26日木曜日

今日(ノエル)のワイン:Marie Courtin "Efflorescence" 2009, Domaine Thymiopoulos "Xinomavro nature" 2012, Sébastian Riffault "Raudonas" 2007

みなさま、ノエル(クリスマス)は楽しく過ごされたでしょうか。

ワイン屋はノエルの前週金曜午後まで忙しかったのですが、その後、なんとなく落ち着きました。多くのパリジャン達はヴァカンスに出てしまったようです。といっても、なんだかんだでイヴの午後7時くらいまではお客様がいらっしゃいました。

通常、お昼から夕方くらいまでお店は閉まっているのですが、イヴの日はノンストップで営業。なんとなく客足もひいて、外も暗くなってきて、そろそろ夜?と思いながら時計を見たらまだ午後5時。店主もびっくり。「今日は長いな〜」「よしっ、なんか飲むか?」という言葉を受け、「やっぱりシャンパーニュでしょ!ノエルだし」と当然のように言い放った私。はっはっはっ。普段飲まない・買わないシャンパーニュも、ひとのおごりなら飲むわよ。
というわけでマリー・クルタン(ドミニック・モロー)「エフロレサンス」2009年。
なかなか手に入らないシャンパーニュらしくて、店主がエージェントにずいぶん掛け合っていた品なので、飲んでみたい!と思っていたのでした。
1時間ほど冷やしておいて、店内も少し落ち着いた頃、常連さんが来たのを機に、みんなで乾杯。
すんごい泡だー、やっぱりコレ、シャンパーニュだあ…と見ていたのだけど、何の説明もなしにグラスを手渡した人に「何これ?シュナン(品種)?」と言われてしまった。店主が「たしかにこの苦みがシュナンっぽい」と言っていて、私もいざ飲んでみたら、あんまり典型的なシャンパーニュっぽくない感じでした。品種はピノ・ノワール100%。エクストラ・ブリュットなのでだいぶ辛口…のはずですが、なんだかそれほど酸味が際立ってもいない。ドザージュ・ゼロ(リキュール無添加)のブリュット・ナチュールに私が慣れてしまったからかな??でも、ドザージュで調整されたシャンパーニュにありがちなベタつく後口はなく、きれいに終わる。いや、というか、きれいに終わりすぎる?あんまり印象に残らない。
ふーん?と思っていたら、店主曰く、「これの格下キュヴェの方が美味しかったかも」とのこと。
また少しお客さんの流れがあったので、そのまま冷蔵庫に保存して、抜栓後1時間経ってまた飲んでみたら、だいぶ開いてきた感じでした。うーん、さっさと飲んじゃってもったいなかった?店主は「あと1年くらいしたらもっと美味しいだろう」「カラフしたら良いかも」と言っていました。って、デゴルジュマン(澱を抜く作業で、なるべく蔵から出すタイミングに合わせて行う)から時間が経つと泡が少なくなるというし、カラフしたらせっかくの泡が減るし…というシャンパーニュの常識無視な発想。だけど、私はそれで良いのだと思います。シャンパーニュもワインなんだもの。

さて、夜7時半を過ぎて外にも人影が少なくなってきたので、店主が自分用のワインを選び始め、あれやこれやと秘蔵カーヴからも出してきたりしている横で、「もうお客さん来ないなー」と呑気にシャンパーニュの続きを飲む私。
そろそろシャンパーニュもなくなったし、もう早めに閉店して帰ろうよ〜という私の気持ちと裏腹に、店主が「あっ、そうだ、これも試飲しとかなきゃ」と言って、更に一本持ってきました。
ドメーヌ・ティミオプロス「クシロマヴロ」2012年。
ギリシャのナウサのワインです。2011年からSO2無添加で造っており、「Nature」(ギリシャ語読みだと何て発音するんだろう?)と明記されています。
これが、ものっすごく香り高い!あんずや桃といった白い果実(普通なら白ワインに感じられるフレーバー)や、フローラルな味わい。タンニンが細かく、さらっとして口当たりがとっても軽く、アルコール度15%とは信じられない。多分まだ若いフレッシュさがあるので、もう少し経ったらまた違ってくるのかも。
店主と「どんな料理に合うか」という話で、私はドライフルーツを使ったタジンなどのモロッコ料理に合うかなと思いました。店主は「オリエンタルな料理ならバラを使ったものにもいいかも」という意見。また、私は最初、「こういう香りの強いワインは和食に合わないと思う」と言ったのですが、段々とワインが落ち着いてきた頃、「うーん、やっぱり焼き鳥にも合うかも」と前言撤回。料理の引き立て役的なワイン、料理に寄り添うようなワインではなく、料理と肩を並べて食事の一要素になるワイン、料理そのもののあり方を変えてしまうワインという感じがしました。
普段フランス以外のワインを飲む機会があまりないので、試飲させてもらって本当に良い経験になりました。

そんなこんなで帰宅が遅くなり、うちでのノエルご飯は25日の夜。
前日のギリシャ・ワインの残りをもらってきていたのですが、タンニンがもっと出て来て、フル・ボディなワインに変身していて、ちょっとびっくり。
しかし本命は、店主が自分用ワインを選んでいたときに秘蔵カーヴから出してきて「飲んでみな」と渡してくれた一本。
セバスチャン・リフォー「ロドナス」2007年。
ロワール地方、サンセールの赤。ピノ・ノワールです。
「セバスチャン・リフォーの赤って試飲会で見たことないなあ」と言ったら、店主が「赤はなかなか出さないかもね。生産量も少ないし」とのこと。もしかして、私、セバスチャン・リフォーの赤を飲んだの初めてかも?
開けたては少し酸がたって感じられたのが、段々と果実味が出てきた…と思ったら、今度はタンニンが出て来て多少苦みが感じられてきた…と思ったら、また果実味がぐーんと出てミネラリティと合わさって深みがでてきた…という風に、どんどん変わるワインで面白かった。二人で一本、食事をしながらだったので、抜栓からカラフに移して飲み終わるまで1時間半以上かかっていたかな。だんだんと底が上がってきたというか、飲み終わる頃にとても美味しくなっていて、生き生きとしたワイン。こういうのを5、6人で抜栓して一辺に飲んでしまうともったいないかも。やっぱりじっくり飲むのが好きです。

ワイン屋はノエルが終わって一息ついたところ。でもまだ新年パーティー用のシャンパーニュを買いに来る人がいっぱいいそう。最終コーナー曲がって、これからゴールまでの直線ダッシュ!

0 件のコメント:

コメントを投稿