2014年7月27日日曜日

今日のワイン : Claude Courtois "Un petit coin de Sologne" 2013

またまた更新サボってしまいました。

先週末はまたオーヴェルニュに行ってみたりしてたのですが、まあそのことは書けたら後々…(でも写真もほとんどないし面白くないでしょう、多分…というのが取り敢えず書かないでいる理由)。

ところで、久々に胸にぐっときた!ワインがこれです。
クロード・クルトワ「アン・プティ・コワン・ド・ソローニュ」2013年。
先週までヴァカンスにでていた店主が、いくつかのドメーヌ訪問をしてきたらしいのですが、そのうちの一つがクロードのところ。クロードには6月後半にモントルイユの「アミティエ・リ」というワイン・バーであった試飲会にて再会し、そのときに訪問を決めたみたいです。本当は私も一緒に行きたかったのに〜〜。店主が旅行日程を変更したせいで同行できなかったのでした…。(あーもう、本当に店主の予定は当てにならないんです!!)

で、店主が訪問の際に直接ワインを買い付けてきて、これもその中の一つ。昨日、棚に並んでいるのをみて、もう「あ、これ飲みたい!今日飲もう!」とピンときてしまいました。

ヴァカンスから帰ったばかりだというのに、また私に店番を任せて友達のところへ遊びにでかけてしまった店主に(←恨み節)これがどういうワインか聞く機会がなく、データゼロです。

最初、何の品種か全然わかりませんでした。でも、キラキラしたこの酸が美味しい!すっきりしていながら、底にちょっぴりねっとりとした雰囲気もあり。柑橘系のフルーティさも。少々ガスあり。

いや、そういうことよりも、なんかねえ、エネルギーが伝わってくる感じがしたのです。疲れてぐったりした心と体に染み入る…。
クロードの、あのいかにも働き者という感じの大きな体と、やさしく包み込むような話し方をふと思い出してしまいました。

アルコール度数9,98%(細かい!)と低めで、ぐいぐい飲んでも大丈夫(比較的)。

余談ですが、クロードは今年の初め頃、インポーターさんに招待されて初めて日本へ行き、とてもとても気に入って、フランスへ帰る飛行機の中で泣いたと言っていました。

さて、ワインの方は、時間がたって「これはソーヴィニヨンだな」と思いました。多分そうです。というかほぼ確信。土と干し草のような風味がね。

そして、塩っぽさが出て来て、控えめながら感じられる柑橘系の風味と相まって…「これはポカリXXXX!」。うーん、やっぱり体に吸収されやすく体に良いワインなんじゃない?

お店には一体あと何本残っているのだろう…。買っておかなくちゃ!
今日は休みだけど、勝手にシャッター開けて買ってきちゃおうかな?

2014年7月13日日曜日

サッカーの2014年ワールドカップ

今夜決勝戦のサッカーワールドカップ。フランスはベスト16で終わったので、本当にサッカー好きな人だけ見てる感じでしょうか?

フランスの試合の日は、TVを設置してサッカー中継しているカフェやレストランに人があふれていたようです。逆にTVのないところはガラガラ。こういう日は人気レストランでもドタキャンとかあるんでしょうね。

しかし、個人的にはフランスがあまり勝ち進まなくてホッとしています。
まず、サッカー大好きの店主からいきなり店番頼まれる心配なくなったし☆
今回はたまたまフランスの試合が私の出勤日だったので、彼は心おきなく当然のように欠勤していましたが。

まあ、フランスの試合の間はお客さんも来ないだろうなーと予想はしていました。いやしかし、これが意外に、サッカーの試合があるというのを全く知らない人もいたのです。こういうの関係ないっていう人もいるのは、まあ当たり前なのことなのですけどね。
当日、お客さんとの世間話で「サッカーの試合があるから、今夜はヒマだと思うんだ〜」と言うと、「え?そうなの?」と聞き返されたることもしばしば。また、試合開始直前に店主のお父様から電話があり、「彼は今ここにはいませんよ、TVの前にいると思いますよ〜」と言ったら、「あれ?サッカーの試合があるの?じゃあわざと携帯に電話して邪魔するとしよう〜♪」という返事…。おちゃめな人。
フランスがナイジェリア相手に戦っていたときには、ゴールを決めた直後に電話が鳴り…何かと思えば「美味しいワインを見つけたので試飲しませんか?」という常連さんからの業務的な連絡。試合見てないのね、あなた。

そういう私も店番している間、試合は見られませんでした。外からはTV観戦中の人たちの歓声が聞こえ、そのトーンからどうも好機があったらしいのは推測できたのものの、実際どうなったのかがわからず、なんだかもどかしい。音は聞こえるけど見えない花火みたいだ…。
なので、自分のiPhoneで、ニュースサイト速報で追ってみました。多少の時間差はあったものの、どういう経緯になったかはわかりました。で、ナイジェリア戦では、ゴールのたび(計2ゴール)に「退屈だー!」「客がこない!」と店主へ嫌がらせSMSを送ってみた。でも、彼は電話など見るヒマもなかったことでしょう。全く嫌がらせになってない…。

フランスがドイツに負けた翌日、店主がなかなか出勤してこないので「そんなにショックだったのか!?」とちょっと心配してしまいました。実はサッカーのことよりも、大口の入荷と配達があったせいで肩をこわし、痛くて眠れなかったのが辛かったらしい。それもまた心配ではあるのですが、「さすがにそこまでサッカー馬鹿ではなかっか」とある意味ではちょっとホッとしてしまった。

それにしても、サッカー観戦というと、やはりピザとビールが定番なのでしょうか?あまりワインは売れなかった気がします。これで優勝とかしたら、シャンパーニュが売れたのかも?

こういうイベントって経済に影響しまくりです。

どちらにしても、店主は先週からさっさと夏休みに出てしまったので、フランスが勝っていても私の出勤日には影響なかったのかな。

パリはそろそろ静かです。

2014年5月31日土曜日

今日のワイン : Pierre Beauger "Vin à la noix"

5月ももう終わりですね。前半にバタバタしたので、ちょっと疲れ気味、ブログの更新もすっかり滞ってしまいました。(…って、いつものことですが……。)

そんな今日この頃、「美味しい〜!」というワインはあっても「それについてどうしても何か言いたい!」というほど心を動かされたわけでもなかった、というのも更新に至らなかった一因。

でも!今日は!!
これは本当にすごい特殊で貴重なワインなので、一言書き留めておきたい!のです。

ピエール・ボジェの「ヴァン・ア・ラ・ノワ」。

昨日、色々と入荷があり、その中にまじっていたのがオーヴェルニュからピエール・ボジェのワイン。フランスは今週、木曜日が祝日で、金曜日に橋をかけ(飛び石連休になるとき、間に休みをとることをフランス語表現でそう言います)出かけるパリジャンが多かったようで、静かな金曜日の夜。閉店近く、夫がお店に遊びに来たので、店主が「じゃあ何か飲もうか?」と提案してくれました。「今日届いたものの中からがいいな〜」とにおわせたら、ちゃんとわかってくれてこれを出してくれたのでした!(多分、店主は自分も飲みたかったのだと思いますが。)

マルセイユの試飲会「ラ・ルミーズ」で既に試飲したのですが、そのときは説明を聞きつつも「?」な感じでした。
たしか胡桃を漬け込んで寝かせたのだとか…。
あまり詳細を聞かなかった。

ベースはガメイ種の赤ワインらしい。
「生の胡桃を入れたのかな?」「多分…」「アルコール13度って書いてあるけど、胡桃がワインを吸収して濃縮されてないかな?それとも逆に胡桃から水分出てるとか?」「でもどのくらいの量の胡桃を入れたんだろう?」「ベースのワインはどうして白じゃなくて赤?」「うーん、どうしてだろ?」「そもそもなんで胡桃を入れようと思ったんだろ?」……
3人で話し合いながら疑問が次々と浮かんでくる。
ヴィンテージも、「La VaN 01」という表記はあるけれど、それが2001年を意味するのかどうか?「私は『ヴァン・ア・ラ・ノワ最初の年』っていう意味じゃないかと思う」と言ったら、店主と夫に「ピエールはこれをまだ2年目、3年目と続けてやるつもりってこと?」と反論され…うーん、さすがにそれはないか?
(ピエールにメールで聞いてみようかな?)
ボトルのサイズも、ハーフボトルかマグナムしかないというのも謎。
でも、かなり濃厚なので、3人でもハーフボトルでちょうどいいぐらいだったかも。
瓶の底の方は澱でかなり色が濃く、「これって開栓前に振るべきだった?」とまたまた疑問を抱きつつ、味の詰まった最後のグラスも美味しかった。
あきらかに胡桃、ちょっとヴァン・ジョーヌのスパイシーさに通じるようなところあり、しかしなんとなく梅酒のような風味もあり。
店主がたまたま買って冷蔵庫に入れていたチーズ、ボーフォールを出してくれて、これがつまみによく合いました。「ヴュー・コンテだったらもっと合うかも」…って、すっかりヴァン・ジョーヌ路線ですけど。

実は5月半ば、ピエール・ボジェの蔵を訪問する機会に恵まれ、それは私としては胸に染み入る体験でした。それについてブログに書こうか書くまいか迷っているのですが…そのうち書きたい…かも……。

追記:ちなみに一本しか入らなかったこれのマグナムボトル、今朝、早速買われてしまった…。買っていかれたのは、常連さんだけど、ピエール・ボジェとかあんまり関係なく、ただナチュラル・ワインが好きな、お店のお向かいに住むマダム。70歳の誕生日に特別なワインが欲しいと思ってたところ…とかなんとか言っていたような。店主が「すっごく高いんですよ」とか、やんわりと買わない方向へもっていこうとしていたようだけど、結局即買いされてしまった。そりゃあ目につくレジ横に堂々と置いてたら気になるわなー。でもあのマダムに買われたのだったら個人的にはなんとなく納得いく…。ハーフボトルはまだありますよーー。

2014年5月11日日曜日

L'Arsouille ランチ再訪

(前回の続きです。)

「明日の昼ならクリスがいるよ」と言われ、結局翌日、ランチの時間に再訪。
クリスに会いたかったし、せっかくだから席があいていればランチも食べて行こう…と12時半頃に入ってみたら、まだガラガラでした。レンヌもパリと同じく、みんな1時くらいからお昼を食べるのかな?
バーカウンターにロワール地方の生産者ロラン・ルブレッドが来ていて、試飲用に持ってきた新しいワイン「ラ・ソーヴィニヨンヌ」を開けたところでした。クリスに誘われ、私たちもご一緒することに。
品種はソーヴィニヨン・ブランで、マセレーション(果皮を漬け込む製法)した白。色合いは濃いめで辛口。ロランが「お宅の店にも卸したよ」というので、また飲める!と何となく安心。(ちなみに写真はうちの店内で撮ったものです。)

クリスはランチの準備でキッチンに入り、鴨の胸肉の燻製スライスをつまみに出してくれました。少しタンニンのあるこの白に意外と合う。ロランとお喋りしながら飲んでいたら、段々とお客さんが入ってきました。バーカウンターも埋まってきて、サマンタに「移動してくれない?」と促されてキッチンへ退散。クリスと話しながらキッチンのカウンターで飲める特権!しかし、狭いキッチンに3人、それもそのうちの2人は図体のでかい男(失礼!)なので、邪魔だっただろうなあ。でも多分いつものことで、他のキッチンの人たちもサマンタも気にしていないみたい。

次々と注文をこなしていくクリスの手際に見とれつつのんびり飲んでいる私たちの背後では、ホールは超満員らしく呼び鈴が鳴っても皿をとりにこれないサマンタが時々「無理!」と答えている。そんな忙しい合間にも出してくれたのが、セバスチャン・ボビネの「レ・グリュッシュ」2011年。最初ブラインドで出された他のシュナン種の白を、ロランもクリスもあまり気に入らなかったようで、飲み切らないうちにクリスが新しく出してきたのがこれ。ロワールの生産者、クリスチャン・ヴニエにもらっという、どでかいバターの塊と。
ソミュールの白、品種はシュナン。スッキリしているけれど平らではなく、底にミネラルがある感じ。ロランも納得。

お腹が空いてきて、ランチの注文が落ち着いたら何か頼ませてもらおう…と思っていたら!突然ラヴィオリのスープ・ボウルが目の前に差し出されました。クリスったら何気なく私たちの分をちゃんと作ってくれていた!そしてその後、セヴィーチェ、ラングスティーンと、次々続く!
スパイシーなセヴィーチェでした。
千切りの白い野菜は根セロリ。

ラングスティーヌ大好き!
赤いのは乾燥ビーツ。
クリスのセンスでインプロビゼーションで作ってくれたみたい。うわーん、すごい!嬉しい!…と満足していたら、更にもう一皿!
メルルーサの切り身を皮の方からだけ焼いたもの。良い火の通り具合!乾燥トマトと一緒に。

ワインは、またまたクリスからのブラインド。ミネラリティから、フランク・コーネリッセン?をちょっと思い出したけれど、あの独特の苦味はないし、フランスのワインだと言われ、みんな口をそろえて「オーヴェルニュのガメイでしょ」と。ところが!ボジョレでした。瓶を見せてもらってないのですが、イヴォン・メトラのボジョレ・ヴィラージュらしい。うーん、このミネラリティがすごい。タンニンも軽いので魚に合います。

気がつけばホールのお客さんはみんな帰ってしまっていて、ランチタイム終了。クリスがスタッフのまかない用メルルーサを焼き始めたところへ、メラニーもやってきました。天気が良いのでテラス(っていうか路上…)で食べようと、スタッフたちがテーブルをセットし、私たちもグラスを片手に移動。
クリスは全部カラフしてブラインドで出してくるので、瓶は見ていないのですが、ここで出てきたのはギィ・ブルトン(ボジョレの造り手)らしい。
なんとデザートまで出してくれました!
苺とチョコレートムース。

夫がカラフを見て「これ、マグナム(1,5リットルのボトル)?量が多いみたいだけど?」と言うと、クリスからは「ん?普通のボトル」という返事。「え?マグナムじゃないの?」ともう一度聞くと、「俺にとっての普通ボトルってマグナムのことだもん!」と…。なるほど…お見それいたしました。

そういえば昨年、10周年を記念してイベントをやったらしいのですが、そのときのコピーが「10のワイン生産者、1000のマグナム」だったのです。
1000まではいかなかったようだけど、相当な数のマグナムを開けたらしい。ありえな〜い!!でもクリスならありえる…。

やがて「サマンタにこれじゃないキュヴェを出すように言ったのにな。これは若過ぎる!」と不満気なクリスは「夜になったら美味しくなってるよ」とカラフを店内に引っ込め、別のものを持ってきました。
同じくギィ・ブルトンで、モルゴン、ヴィエイユ・ヴィーニュ2007年。これに比べればたしかに前のはかなり若かったかも。今度のはタンニンがずっとこなれてる。

クリスの友人が数人、通りかかって仲間に加わり、ワイン飲みはまだまだ続く!太陽がさんさんと降り注ぐ下、まったりと。

雑談の中でもイエロー・ページにラルスイユの電話番号と住所を載せた話が面白かった。
クリスは載せたくなかったらしいけど、とにかく載せることになって、でもレストランの項目には入れないでくれ、「ミニ・ゴルフ」にしてくれ、と頼んだらしい。その結果、レストランとして載ってはいるけれど…
ミニ・ゴルフも併記。
…って、ラルスイユにミニ・ゴルフないし!どこからそんな発想が???
お、おかしい〜〜。これ見るたびに笑ってしまう!
さすがクリスだ〜〜!!

続いて、再びロランの「ラ・ソーヴィニヨンヌ」。今度はカラフして。
のっぽなきれいなカラフ。
南米のおみやげなんだとか。
クリスは「このワインについて何が良いと言えるかわからないんだ」と手厳しい意見でロランに詰め寄っていましたが…。マセレーションが流行っぽいから嫌なのかな??私は結構好きだけど。カラフしたら少しスパイシーさが出て、また違った味わいなのも良い。

しかし、人数が多く、普通サイズ(一般人にとっての)ではすぐ一本空いてしまった。で、お次はアンドレア・カレックの「ブラン」2008年。
カラフの隣りの濃い色のグラスは澱!
この細かい澱をちょっと味わってみたけど、意外と美味しかったです。でも飲むものではないですね…。ワイン自体は、時間を経て、多分だいぶ落ち着いたのだろうと思いますが、パイナップルやココナッツのような華やかなフレーバーが溶け込んでいて美味しい。初夏のような日差しの中で飲むのに最高〜!

で、気づけばもう午後6時過ぎ!待ち合わせがあったので、フラフラとレンヌの街中へ繰り出し、夫の友達と合流。その後、結局またラルスイユへ逆戻り。
テラスではまだまだ飲み会が続いていた…。クリス、夜の準備は大丈夫なのかな??
…と横目で心配しつつも、こちらも友達と4人でもう1本。昨夜も飲んだパトリック・ブージュの「フェステジャー」、でも今度は白。甘みがあり、飲みやすい。でもこれだけ飲んだ後では、2杯目くらいからこの甘みにちょっと疲れました。まあ美味しかったんですけどね。ロゼの方が好きかな。

夜のTGVでパリへ帰らなければならなかったので、8時過ぎにラルスイユを後にしました。幸せな気分のままパリ帰着。

あ〜さすがに少し酔っ払った〜、でも楽しかった〜!ラルスイユ、大好き!!今度はいつ行けるかなあ?

2014年4月26日土曜日

レンヌのビストロ、L'Arsouille

復活祭のヴァカンス真っ只中のフランス。パリジャンたちは出かけてしまって、休暇をとって閉めているお店もあり、若干静かなパリ。うちのお店もずいぶん落ち着いていて、今週は店主がヴァカンスをとっています。私も先週10日間ほどお休みをもらいました。

ヴァカンス中、ブルターニュ地方のレンヌに立ち寄りました。夫が住んでいたことがあり、私もすでに何度か訪れたことがあります。レンヌでの楽しみといえば、何と言ってもクリスの店、「ラルスイユ」に行くこと!なかなかレンヌに行く機会がなかったので、今回はものすごく久しぶりの訪問。

木曜の夜、事前に電話で予約を入れていたのですが、行ってみたらクリスがいない!?なんでもミュージック・フェスティバルに行ってしまったのだとか…。でも代わりにクリスの彼女、メラニーがキッチンに立っていました。私は彼女が大好きなので嬉しい驚き!彼女はしきりに済まなさがっていたけれど。

メインに豚の胸肉を注文し、ワインはメラニーにお任せ。出してくれたのは、ヴィニ・ヴィティ・ヴィンチ(ニコラ・ヴォティエ)のブルゴーニュ・ラドロワ、2012年。
わりとしっかりタンニンがあって、どちらかというと力強さのあるブルゴーニュ。以前に同じ造り手のブルゴーニュ・クーランジュ・ラ・ヴィヌーズ(同じく2012年)を飲みましたが、もう少し軽くて小粒な赤いフルーツ系でした。「ヴィニ・ヴィティ・ヴィンチで、こんなブルゴーニュもあるのか」とちょっと驚き。

メインの料理の豚肉は脂身でしたが、それほどしつこくなく、皮がパリパリ。付け合わせの丸ごと野菜は、歯ごたえがあって火の通り具合がちょうど良い。ブイヨンの味もほんのりしみていて、野菜が美味しいのが嬉しい。

アートシアターを観に行った友達が後から合流することになっていたので、もう一本注文。夫とメラニー、サーヴィス係のサマンタと、さんざん「何にしよう?」と悩んだ挙句、「こうなったら地下カーヴに行って一緒に探そう!」と、特別にカーヴへ連れていってくれました。ちゃんと冷房をいれて、生産者別キュヴェ別にとてもきちんと整理してあって…うちの店と大違いだよ〜!(うちの店の地下カーヴは、時々障害物競走のコースみたいになるからなあ。)

結局、オーヴェルニュのパトリック・ブージュの「フェステジャー」。ヴィンテージは分かりませんでしたが…結構甘い。フルーツたっぷり。食後のデザート代わりになるスパークリング・ワインでした。

クリスには会えず、その上、この日はギター弾きが来ていてリクエストに応えて歌うというミニ・コンサート(…っていうか歌声喫茶化してたか?)があり、静かに食べて話しながら飲みたい私たちにはちょっと厄介な展開だったので、あまり長居せずにお店を出ました。でも、メラニーに会えたし、お料理は美味しかったし、やっぱりラルスイユはよいなー。レンヌに寄ってよかった!と、なかなか満足した夜でした。

…がしかし、これだけでは終わらないのがラルスイユなのであった…。(続く)

2014年4月21日月曜日

マルセイユの試飲会 La Remise

ずいぶん前の話になってしまいますが、3月末の日・月曜、マルセイユでワインの試飲会「ラ・ルミーズ」がありました。自然派ワインの試飲会としてはわりと大きめ。前回の「ディーヴ・ブテイユ」ほどではありませんが、参加生産者数は64と、やはり2日かけないとテイスティングしたいスタンドを回りきるのは難しい。泊まりがけの小旅行になってしまうので行こうかどうしようか迷っていたところ、店主がお店の経費で行くというので便乗することに。マルセイユはパリからずいぶん離れているものの、数年前に新しいTGVの線路が開通して、3時間半で行けてしまうのでわりと近くに感じられます。

「ラ・ルミーズ」は生産者のアソシエーションが主催で、仲間で協力して作る雰囲気があり、個人的に好きな試飲会です。お店と取り引きのある生産者さんもいっぱいいて、気がおけないのも心地良い。

会場は昨年と同じラ・フリッシュというところ。…といっても、私は昨年のこの時期日本に行っていて逃したので、初めての場所です。オープンな雰囲気で、カフェはイベントに関係なく利用でき、ちょうど私たちが到着したランチタイムにはテラスで食事している人が沢山いました。もちろん試飲会に来た人もいましたが、何しろ天気が良く、日曜だったので家族連れが多く、和やかで良い感じ。

入口で店名を言ってプロ用のチケットと領収書を出してもらっていたら、ふとノートパソコンの横に見覚えのあるショップカード発見。あのカラフルでかわいいカードは…京都のドゥー・コション!受け付けのジョスリンヌに「どうしてこのカードが?」と聞いてみたら「ああ、彼らさっき来たのよ」と。なんと、日本から!?わーすごい!ドゥー・コションのお二方に会えるなら、やっぱり来て良かったなあ〜。

会場の中は、試飲会のシンボル(?)になっているイラストの綱渡り男がそこかしこに吊るされ、いたるところに渡してあるロープにはTシャツやスカートなどが干してあって、なかなかかわいいデコ。その洋服もただの飾りではなく、生産者名が書かれていてスタンド表示になっていました。スタンドは樽を利用、そして(写真を撮り損なってしまいましたが)ピエール・ボジェのスタンドはなんとアイロン台でした!粋だあ(?)。




テイスティングを始めてしばらくして、ドゥー・コションのマサミさん&マサタカさんと再会。覚えていてくださって、あちらから声をかけていただいた!いやぁ、嬉しかったです。その後も時々顔を合わせて立ち話をしましたが、せっかく日本からいらしたのにテイスティングのチャンスを奪ってはいけない…と気持ちが引っかかってあんまりゆっくりできなかったのが心残り。

その他にもドイツからいらしたワイン輸入業の方とお知り合いになり、何度かお会いしたことのある日本のインポーターさん&その関係者でフランス在住の友人、お話する機会はありませんでしたがリヨンでレストランをされている石田さんファミリーなどお見かけして、日本人参加率結構高かったような。そして生産者としてはオーヴェルニュのミトさんも。スタンドないのに何気に自分のワインをふるまっているしw

今回は「ディーブ・ブテイユ」のときのゆるゆるでヤル気なかったことを反省し、しっかりメモもとる態勢。もし店主と生産者さんの世間話が長引くようなら別行動でガンガンテイスティングしよう!…とひそかに意気込んでいたのですが、結局店主とまわることに…。でも今回は彼もあまりだらだらと時間をとることがなく、会場で偶然出会った友人と一緒に試飲したり意見交換したりしながら、比較的効率よく、かつ楽しくテイスティングできて良かった。

しかし、一日かかりっきりのテイスティングは、やはり疲れます…。

夜は会場で生産者さんたちとのディナー。最初は参加しないつもりでしたが、よく考えたら日曜だから開いているレストランもそうないだろうし、地の利のないところで探すの面倒…ってことで、運良く空いていた席を確保。
午後、テラスでバーベキューのように火をおこしているのが目につきました。もしかして今夜の準備?と期待がたかまる!

午後遅く、連絡係が生産者さんのところへ「君たちはメインの皿を運ぶ係だからヨロシク、前菜の皿はさげなくて良いから」などと伝えてまわっていました。テイスティングのスタンドを担当するのはもちろんのこととして、その準備や後片付けだけでも大変だろうに、夕食のサービスまでやるなんて…みんなヤルなあ、スゴイ連帯感だなあ〜と感心してしまいました。

夜7時を過ぎ、会場内は整理され、テーブルのセッティング、バンドのセッティング…って、あれ?ライブもあるの?

バンド演奏が始まったのを横目に見ながら、オトゥール・ダン・ヴェールのケヴィン&ビッキーとテーブルについて、のんびりとディナーが始まるのを待つ。待つ、待つ、待つ…。
やっぱり時間通りに始まらないんだよねえ。
しかし、さすがマルセイユ(?)、前菜にスープ・ド・ポワソン!おー南仏の味。
前菜が終わって、メイン…のはずが、これもまたもや待つ、待つ、待つ…。
その間にもバンド演奏。席を立って踊り出す人続出。あーやっぱフランス人ってこういうの好きだよねえー(偏見?)。
このときはアコーディオンが出てシャンソン風。
しかしこの後ロックになり、カオス状態に…。
メインはロースト・ビーフ、付け合わせにサラダたっぷり。これ、外で焼いてたやつかな?美味しい〜。
ワインもいっぱい並んで、テーブルを渡り歩けば他にも色々な種類が飲めたのでしょうが、もう自分のいるテーブルだけで飲みきれないほど。その中でも一番美味しかったのはピエール・ボジェのガメイかなあ…あー、なんという幸運。
メインの後、チーズそしてデザートと聞いていたけれど、なかなか出てこない。というか、バンド演奏がまた始まって、飲めや歌えや踊れやの大盛り上がりになり、それどころではない感じ。またしても待つ、待つ、待つ、待つ、待つ…。
気づけばもう11時過ぎ。実はこの日、夏時間に変わった初日で、体内時計は1時間の時差があって(つまり前日までならもう0時)、なんだかぐったり。それでもデザートは出てこず…。これだから生産者ディナーはやめようって言ってたんだよー。どうせ店主も私も踊らないし。
結局、チーズはなく、デザートのパリ・ブレストが出て、それをさっさと平らげて(半分以上ケヴィンに手伝ってもらった)会場を後にしました。部屋へ戻ってバタンQです。

 翌日は会場へ行く前にマルセイユを少しだけ観光。港まで行ってみました。
「これぞ南仏!」な青い空と青い海をちょっぴり満喫。
丘の上のノートル・ダム・ド・ラ・ガルド寺院まで行けなかったのが残念…。

結局、2日かけても全部はテイスティングできませんでしたが、まあまあ満足。
個人的に良かったのは、北ローヌ地方サン・ジョゼフのジャン・ドゥローブル(ドメーヌ名は「フェルム・デ・セット・リュンヌ」)とラングドック地方サン・シニャンのヤニック・ペルティエ。どちらもものすごく久しぶりにテイスティングしました。ジャン・ドゥローブルは、まるみもありながらすっきりした酸と細かいタンニンでバランス良く、どれも美味しかった。特に、以前はかなり甘かった2009年の白「マル・リュネ」が、残糖が落ち着いて酸化熟成の風味が出て良い感じになってきていたのが嬉しい。ちなみに「マル・リュネ」とは「不機嫌」という意味。残糖が多かったせいでAOC落ちしたため、こういう名前のキュヴェになったそう。ヤニック・ペルティエは、まだ若いかな?というヴィンテージでさえ、やはり柔らかさがある。彼の人柄がでているのかなあと思います。

マルセイユは少し遠かったけれど、楽しかった!
やっぱりたまには南仏にこなくちゃ!!と実感した2日間でした。

2014年3月21日金曜日

今日のワイン:Jean-Yves Péron "Côte Pelée" 2011 (+長期熟成肉)

先日、長期熟成肉で有名なイヴ=マリ・ル=ブルドネックの支店がうちから歩いて10分くらいのところにオープンしていたことに気付き、ヴェジタリアン(というか、時々は動物性のものも食べるので本当はフレキシタリアン)の夫が不在の頃を見計らって、買いに行ってみました。
お店がヴァカンス明けだったせいかショーケースには熟成肉が並んでおらず、たまたま準備中で包丁を入れていたentrecôte(肋骨の部分の肉)を一人分スライスしてもらいました。なんと60日以上の熟成で、値段も聞かずに買ったら、会計で言われた金額が思ったより高くて内心ちょびっとビビった。夫には内緒。

これに合わせて飲むワインは何がいいかなあ〜と色々考えた末、合うかどうか確固とした自信はなかったけど、思いついてどーしても飲んでみたくなってしまったのが、ジャン=イヴ・ペロンの「コット・プレ」。でも、こちらもちょっと高い。もう一つの赤で値段が手頃な「シャン・ルヴァ」にしようかとも考えたけど、それだと牛肉に合わせるにはタンニンがサラッとし過ぎかなと悩み、やっぱり最初のインスピレーションに従うことに。夫には内緒。
ジャン=イヴのところへブドウの収穫に行った時、2009年を飲ませもらったのだけど、最初にブラインドで飲んだときに「太陽のよく当たる場所だけど高地で栽培されたブドウ」という印象を受けました。それは、タンニンがありつつ酸がスッキリしていたから。(それで「南のシラー」とか言ってしまってしっかりハズした…。)この品種モンドゥーズはシラーの従兄らしいのですが、酸が突出するところが似ているかもしれません。
本当はもう少し古いヴィンテージが欲しかったのですが、お店に2011年のものしかなさそうだったので、「まあカラフすれば何とかなるかな?」と思い、それに決定。

お肉の方は、お店の人に「かなり香りが強いですよ〜」と言われた通り、独特のにおいがして、それが冷蔵庫の中に充満。でもいやな感じはしなくて、熟成した食べ物の香り。最初、一緒に入れていた山羊のチーズがトロトロに熟成したものだったので、やっぱりそれがにおってるんだなーと思ったけれど、実はお肉の方が強かったみたい。
お肉屋さんは「両面に焼き色をつける程度で」と言っていたので、その通りに強火で短時間焼いて、かなりのレアで。…って、その焼き加減のせいか?初めて食べた長期熟成肉は刺身っぽかったです。上質のマグロの赤味の刺身みたい…。じゃあ刺身食べてれば良いじゃん?なんて一瞬思ったのですが、やっぱり違う。後口が乳くさく、「肉だな」という感じ。この乳くささも、じんわりほわっときて。今まで食べて来た牛肉とは別物でした。

さて、問題のワインとの相性。
「コット・プレ」を開けてみたら…めっちゃ酸がたってる!思わず「え?酸っぱ!」と一人独りごちてしまった。シャキーンと酸。しかし、酸がたっていると、それに引っ張られて更にタンニンが強調して感じられることがよくあるのですが、これはそんなこともない。タンニンが細かくエレガントなのでしょう。とにかく酸。これはちょっと若過ぎたかなあ。あと2、3年待ったら和らぐのかしら。
うーん、早過ぎたかなあ…と、カラフしつつ、とりあえず食卓の座席に。
しかし、これが!!このクセのあるお肉とさっぱりした酸のコンビネーションがすごく良い!なんだかすごーーーく良い!一緒になることで別の何かを醸し出している感じ。
あ〜、実際の恋愛でもこういうのって理想ですよね〜〜(完全に蛇足ですがww)。

ちなみに、補欠としてもう一本イタリアワイン(サルデーニャ島のカリニャン種)を買ってあったのですが、これがなんとブショネ…。(補欠代役務まらん!)でも微妙なレベルだったので、「これってやっぱりブショネかなあ?飲めるかなあ?」と懐疑的に試しに一杯注いで、食べながら飲んでみました。が…やっぱりブショネだ。それを差し引くと多分、相性はいけてる感じ。でも「お互いが邪魔しない」みたいな距離。恋愛だったら、友達づきあいが長くて、それからなんとなく恋人になっちゃったパターン?または長年夫婦で寄り添って、特に刺激はないけれどそれで心地良い…みたいな?
それはそれで悪くないのだけれど、コット・プレとの方が断然素晴らしい。

とにかくコット・プレは「食べて飲む」ワインですね。単体で飲むのはちょっと辛い。
その日は一人だったので一本飲みきれず、お肉の方も少し大きかったので半分だけ焼いて、後日に持ち越し。

二回目のお肉は少し長めに火を通してみましたが、うーん、なんだろう、やっぱり魚をグリルしたみたいな風味がある。なんかよくわかんないけどアミノ酸?旨味成分のせい?
コット・プレも、タンニンがもうちょっと存在感を増してきて、旨味も出ている。これはやっぱり「旨味」という共通点があるから相性が合うのでしょうか?

いやあ〜美味しかった。コット・プレは何年か後にまた飲んでみたいです。

…という体験を、夫に話さずにはいられず、結局赤裸裸に報告。でもその報告の中で、値段については少しばかりごまかしたことはやっぱり内緒。

2014年2月19日水曜日

今日のワイン : Daniel Sage "Grange Bara" 2012

このダニエル・サージュという生産者さんのことはよく知らないのですが、彼のワインは「物凄くウマイ!」と(一部で)評判になっていると噂で聞いてました。とにかく生産量が少ないらしく、店主が仲の良いエージェントに分けてもらったものも各キュヴェ1ダースずつとかで、店頭では出し惜しみ状態。でも、ガメイ種の「Abreuvez ses sillons(アブルヴェ・セ・シヨン)」は、店主と一緒にこれを飲んだ人たちが次々と買い求め、あっという間に売り切れに。次に出してきたのが、この「グランジュ・バラ」。(他のキュヴェも何処かにあるはずだけど…店主が店内整理をして以来見当たらない。何処へ隠したのやら?)
生産者さん自身のこともですが、彼のワインについての情報も乏しい…。でもこれはアペラシオンがサン・ジョゼフなので品種はシラーのはず。

実はコレ、私はちゃんと飲んでいません。というか、開けた時に同席していませんでした。土曜日の朝、お店に出勤してみたら、飲みかけの瓶が沢山あって、そのうちの一つにこれが混じってました。(金曜日の夜はよく飲み会になってるみたいです。)残りは瓶の底から数センチだけ、栓もしていない状態で放置されていました。こういう場合、酸化してしまってたりヘタレたりして飲めなくなってしまうものも多いのですが、一応香りをかいでみたら、なんかいけそう?という感じだったのでグラスに注いでみました。そうしたら…!「うんわー、美味しい!」ミネラルがじわっと感じられて、赤い果実のフルーティさもあって、タンニンも軽くて細かい。肝が座っていながら繊細、という印象。これはやっぱり店主が「すごく美味しいよ」と実感込めて言っていただけある!

…と感心しつつ、瓶をまたそのまま放置。わずかに残っていたのを捨てるのが勿体なくて、かといって、飲むヒマもなくて。

そして週明け、月曜の午後にカウンターの上を片付けていたときに、「さすがにもう捨てるか」とこの瓶を手にしてみたら、やっぱりまだほんのちょっとだけ残ってる。普段なら情け容赦なく流しに捨ててしまうのですが、こいつはもしかしたら…と思い、グラスにあけてみました。そうしたら!まだ飲める!!
さすがに少し酸化してきていたけれど、「美味しい」と言って飲めるレベル。それも逆に好きな味わいになってきてる。すごーい!
開栓後3日、わずかな量で、しかも栓をしないで、これだけもつとは…。(いや、他にももっともったワインはありますけどね。)はかり知れないポテンシャルがあるんですね。久々に心を揺さぶられました。

で、私にとってはちょっと値の張るワインですが(今月、口座から税金をどっと引かれるので苦しいのです)、夫には黙って一本買っちゃいました。でも夫と一緒に飲みたいし、といって飲むときには贅沢しちゃったことがバレるだろうしなあ…困った。

2014年2月16日日曜日

ロワール地方のワイン見本市 Anonymes & Dive Bouteille

2月2日から4日まで、ロワール地方のアンジェとソミュールでワイン見本市がありました。
この週末にこの地でいくつもの見本市があって、ワイン業界の人が集まってきていました。しかしそれぞれがなかなかの規模、特にソミュールの「ディーヴ・ブテイユ」という見本市は100を超える生産者が集まるので、全部カバーするのは至難の技。しかも私は土曜日の店番をしてからだったので、1日出遅れました。「どうせテイスティングしきれない」という闘う前から降参姿勢、気合いユルユルモードで参入。
日曜の朝、アンジェに到着し、先に来ていた店主+店主の友人カメラマンと合流。アンジェでは「ルネッサンス」という、わりと大きい見本市があってそこへ行く人が多かったのですが、店主と彼の友人は前日にまわったそうなのでパス(でも、行っておくべきだったかなーと後で後悔)。車を45分ほど走らせ、ソミュールの「ディーブ・ブテイユ」へ。

「ディーブ・ブテイユ」はカーヴ・アケルマンが会場になっていました。実際に行くまでどんなところか全く想像つかなかったのですが、要は岩を掘ってつくったワイン醸造&貯蔵カーヴでした(「アケルマン」ってワインを造っている会社だったのね…)。現在は見学用になっているみたいです。そういえば、昔、旅行で友達と訪れたランスのポメリーのカーヴがまさにこんな風だった。地質もシャンパーニュと似ているかも?

自然の岩そのままなゴツゴツな壁。

上を見上げると穴が…。井戸の跡ですって。
(それにしてもこの照明の色、なんとかして欲しい…
と感じたのは私だけではなかったようだ。)

フルート型グラスが吊り下がっているデコ。
この見本市のためにわざわざ?
と思ったけれど、もとからある内装らしい
(だから、この照明の色は……)

同じく造形アートもこの見本市のため?と思ったら、
やはり通常からある装飾。
しかし、さすがカーヴだけあって寒い…!

カーヴが見学コース風な一方向のつくり(入り口から出口まで一つの順路)になっていて、循環型ではないため、あっちこっちへ移動がしづらい。入ってすぐ、いきなりラングドックとかローヌのスタンドだったのですが、やっぱりまずは軽めの地方からいきたいということで、「一番奥のシャンパーニュとアルザスのところへ行こう」ということに。で、歩き出したは良いけれど、店主が途中で顔見知りの生産者さんと目が合うたびごとに立ち止まって挨拶。結局、ローヌやら南西部やらロワールやらを先にテイスティングすることに。しかし私は「どうせ注文は店主がするのだし…」と、気分はすっかりおんぶ状態。それでも一緒にテイスティングしていると時々店主に感想を聞かれる…のですが、彼と私の好みが合わない!大丈夫なのかこの店、私が売ってて?…とちょっと不安になりました。
個人的に印象深かったのはロワール地方アンジューのオリヴィエ・クザン。前から知っているけれど、こうして他の若い生産者と並べて飲んでみると、やっぱり美味しいんだなあ、年の功というのだろうか…と思いました。それと、アルザスのステファン・バーンワルト。道中(スタンド多いし、道のり長いし、本当に「旅」って感じだったんですよ)のテイスティングではちゃんと吐き出していた店主も、ここではしっかり飲んじゃってるし。アンフォラで醸造しているというキュヴェが面白かったです。

お昼休憩の後、アンジェへ引き返し、ホテルにチェックインしてから「アノニム」へ。
こちらはコレジアル・サン・マルタンという、キリスト教関連の建物の中。
聖人たちに見守られながらのテイスティング

建物全体が文化遺産に指定されているらしく、昨年はワインで床が汚れてお叱りを受け、撤去の際に掃除をさせられたらしい。今回はスタンドの下にカーペットを敷くことが条件で貸してもらったのだとか。それでも100%は被害が防げなさそうな気がするけど…。
この見本市は「ディーブ・ブテイユ」に比べてずっと規模が小さいとはいえ、やっぱり結構な数のスタンドが。どこをまわるか決めかねて、店主の気の向くままに従ってふらふらとテイスティング。でも、あんまりピンとくるものがないなあ…と思いつつ(いや、一つ二つあったのですが、店主任せにしてたのでメモっておらず、名前がわからない)、閉会間際に「もうそろそろ終わりでいいか」みたいなノリで、店主の良い知り合いなので気を許して寄ったスタンド、ジョエル・クルトーのワインが美味しかった。彼のソーヴィニヨン種の白ワイン、「エピドット」2008年(ミネラル感と蜜っぽさが独特)と「ペリドット」2009年(レモンのようなキレた酸味が印象的)は昨年12月、入荷して2週間くらいですぐ売り切れてしまったのです(入荷数も少なかったですが…)。彼とは1ヶ月半ほど前に偶然の成り行きでパリで一緒に日本酒を試飲したのですが、そのとき飲んだものが気に入ったらしく「あれから日本酒のことをよく考える」と言っていました。自分のワインと日本酒との関係(共通点?)について考えるらしいです。そう語る彼の後ろには、おせんべいやポン酢が…!日本の輸入業者からのおみやげらしい。うううらやましい…。その輸入業者さんが最近出版したらしい日本語のワインガイドも見せてくれて、彼のワイン紹介ページがあって絶賛されていました。
…と、そんなおしゃべりをしている間に、徐々に会場が片付けられ、閉会後の食事会の準備が始められました。
ずらーっと並ぶテーブル。
なんと300人席!

テーブルの上には試飲の残りや、新たに開けた瓶がたくさん!
テイスティングも終わり、ご飯を食べながら油断していっぱい飲んでしまった。

デザートまできっちり食べ、零時をまわった頃に退散。ホテルはメーヌ湖のほとりで、星がいっぱい見えて、「あれがオリオン座だよ〜」なんて夜空を見上げながら良い気分で部屋へ帰って眠りについた…

…までは良かったが、翌日はなんとひどい頭痛。
二日酔い?そんなに酔った覚えはないんだけど??
いや、もしかしたらテイスティングの最中は吐き出していても少しずつ喉を通ってたりするし、食事中はいろいろなものを飲んだし、やっぱり飲み過ぎ?寝不足もたたったかも。
朝食をとりに食堂に下りてみたものの、ロクに食べられず…。しかし食堂で「いっぱい泊まり客がいるなー?」と思ったら、みんなワイン関係者でした。
いったん部屋へ戻って少しウトウトした後、シャワーを浴びてなんとか復活し、再びソミュールの「ディーブ・ブテイユ」へ向けて出発。
アンジェからソミュールまでの車中、休ませてもらったけれど、やっぱりすぐにワインをテイスティングする気分でもない…。カメラマンの友人はホテルの朝食を食べ損なったのでコーヒーを飲みに行き、私は電話をかけたかったので外に残り、店主は先に会場へ入り、「中で落ち合おう」ということでバラバラのスタート。しばらくしてフラフラと中へ入って店主を探すものの、見つからないまま一番奥のブースまで辿り着いてしまった。そこはアルザス、シャンパーニュ、ジュラ、サヴォワのコーナー。と、昨日は見かけなかったジャン=イヴ・ペロンが!昨年の秋、収穫のお手伝いに行ってとてもお世話になった生産者です。「ああー挨拶したい!」と思ったけれど、たくさんの人に囲まれていて近づけない。大人気です。あちらも私に気づいてくれて、なんとかビズはしたけれど、「もうちょっと人が少ない時にゆっくり来よう」と、とりあえず退散。どうせまだ体調がすぐれなくて気分が乗らないし。…などと言ってないで、せっかく来たんだから、やっぱり何かテイスティングしないとなあ…と、ふと後ろを振り向くと、ジュラのジャン=フランソワ・ガヌヴァのスタンドが。どうも彼自身はいないみたいだったけれど、飲んでいる人がいたので、「勝手にやって良いのかな?」ということで、自分で注いでテイスティングさせてもらいました。3つあって、1つ目が「ジャン・ヴー!!!」2012年。これは飲んだことがあって好きなことはわかっていたワインなのですが…これだけ気分が悪くても「美味しい!飲みたい!」と思ってしまった。自分でも驚いた。恐るべし、美味しいワイン。
その場で写真を撮らなかったので、
うちにある2011年のラベルで失礼。

他の2つ(たしかシャルドネとサヴァニヤン)も美味しかった。
…と、こんなところで感動している場合ではなく、店主と落ち合わないと…と、再び迷子探し(ってか、私が迷子?)。しかし、店主とカメラマンを見つけたは良いが、この日は日本酒インポーター「酔い心地」さんの手伝いをする約束をしていたので、ほどなくしてまた彼らと別れ、テイスティングはほとんどできませんでした。(ちなみに日本酒スタンドは意外と人気が高く、いっぱい質問されたりして、大変だったんですよー。)それに、店主と一緒だと生産者さんとのおしゃべりが長くて時間がかかって、あまりたくさんまわれないことがわかりました。次回は本気テイスティングを目標に、適当に別行動しようかな?

今回は物見遊山な、あまり気合いの入らないテイスティングでした。ちょっと反省。次回は頑張ろうっと。

2014年1月26日日曜日

今日のワイン : Sébastien Riffault "Skeveldra" 2007

今年に入って、最初に「うーん、これはすごい」と唸ったワインは、ジャン=マルク・ブリニョ「ラ・コンブ」(ヴィンテージ不明)でしたが、複数人でランチの途中、それも携帯電話を持ってきていなくて、写真が撮れませんでした。品種はサヴァニヤン、スッキリした酸とクリーミィなテクスチャー、底のあるワイン。しかし、一緒にいた人が勝手にこれとか高めのワインを頼んでくれちゃったので、会計のときちょっと頭が痛かった…。

で、二本目に「うーん、これはすごい」と唸ったのがこちら。
セバスチャン・リフォー「スケヴェルドラ」2007年。
ロワール地方サンセールのワインで、品種はソーヴィニヨン。双頭を成すもう一つのキュヴェ「オクシニス」の土壌が石灰質なのに対し、こちらはシストの混じった畑。
昨年、ジャン=イヴ・ペロンのところに収穫の手伝いに行ったとき、ブラインドで飲んだアレクサンドル・バンのピュイイ・フュメ「ピエール・プレシューズ」もソーヴィニヨンでしたが、一緒に飲んだ人が「これがソーヴィニヨン!?」と驚いていたのを思い出しました。セバスチャン・リフォーとアレクサンドル・バンはご近所さんで、そのせいか、少し似ているところがあるかなと思います。この「スケヴェルドラ」も、私が苦手なソーヴィニヨン特有のいわゆる「ネコのオシッコ」な香りがなく(土壌によってそれが出たり出なかったするらしいですが)、どちらかというとレモンっぽい。筋が通っていて奥行きがあり懐が深い。骨太なようできめ細かい酸がキラキラしてる。
実は、この日は特別ワインが飲みたいという気分ではなかったのですが、だからこそ、敢えて飲むならすごく美味しいワインを開けたいと思ったのです。多分、普段飲んでいる「そこそこ美味しい」デイリーワインにしていたら「ああ、やっぱり今日はワインの気分じゃないや」で終わっていたのではないかと思うのですが、「ああー、美味しいワインってあるんだなあ」とすっかり覆されました。

因みに、これは昨年、私の誕生日に店主プレゼントしてくれた一本。人生、山あれば谷あり、ワインにかかるお金もまた然り、ですな。