2014年3月21日金曜日

今日のワイン:Jean-Yves Péron "Côte Pelée" 2011 (+長期熟成肉)

先日、長期熟成肉で有名なイヴ=マリ・ル=ブルドネックの支店がうちから歩いて10分くらいのところにオープンしていたことに気付き、ヴェジタリアン(というか、時々は動物性のものも食べるので本当はフレキシタリアン)の夫が不在の頃を見計らって、買いに行ってみました。
お店がヴァカンス明けだったせいかショーケースには熟成肉が並んでおらず、たまたま準備中で包丁を入れていたentrecôte(肋骨の部分の肉)を一人分スライスしてもらいました。なんと60日以上の熟成で、値段も聞かずに買ったら、会計で言われた金額が思ったより高くて内心ちょびっとビビった。夫には内緒。

これに合わせて飲むワインは何がいいかなあ〜と色々考えた末、合うかどうか確固とした自信はなかったけど、思いついてどーしても飲んでみたくなってしまったのが、ジャン=イヴ・ペロンの「コット・プレ」。でも、こちらもちょっと高い。もう一つの赤で値段が手頃な「シャン・ルヴァ」にしようかとも考えたけど、それだと牛肉に合わせるにはタンニンがサラッとし過ぎかなと悩み、やっぱり最初のインスピレーションに従うことに。夫には内緒。
ジャン=イヴのところへブドウの収穫に行った時、2009年を飲ませもらったのだけど、最初にブラインドで飲んだときに「太陽のよく当たる場所だけど高地で栽培されたブドウ」という印象を受けました。それは、タンニンがありつつ酸がスッキリしていたから。(それで「南のシラー」とか言ってしまってしっかりハズした…。)この品種モンドゥーズはシラーの従兄らしいのですが、酸が突出するところが似ているかもしれません。
本当はもう少し古いヴィンテージが欲しかったのですが、お店に2011年のものしかなさそうだったので、「まあカラフすれば何とかなるかな?」と思い、それに決定。

お肉の方は、お店の人に「かなり香りが強いですよ〜」と言われた通り、独特のにおいがして、それが冷蔵庫の中に充満。でもいやな感じはしなくて、熟成した食べ物の香り。最初、一緒に入れていた山羊のチーズがトロトロに熟成したものだったので、やっぱりそれがにおってるんだなーと思ったけれど、実はお肉の方が強かったみたい。
お肉屋さんは「両面に焼き色をつける程度で」と言っていたので、その通りに強火で短時間焼いて、かなりのレアで。…って、その焼き加減のせいか?初めて食べた長期熟成肉は刺身っぽかったです。上質のマグロの赤味の刺身みたい…。じゃあ刺身食べてれば良いじゃん?なんて一瞬思ったのですが、やっぱり違う。後口が乳くさく、「肉だな」という感じ。この乳くささも、じんわりほわっときて。今まで食べて来た牛肉とは別物でした。

さて、問題のワインとの相性。
「コット・プレ」を開けてみたら…めっちゃ酸がたってる!思わず「え?酸っぱ!」と一人独りごちてしまった。シャキーンと酸。しかし、酸がたっていると、それに引っ張られて更にタンニンが強調して感じられることがよくあるのですが、これはそんなこともない。タンニンが細かくエレガントなのでしょう。とにかく酸。これはちょっと若過ぎたかなあ。あと2、3年待ったら和らぐのかしら。
うーん、早過ぎたかなあ…と、カラフしつつ、とりあえず食卓の座席に。
しかし、これが!!このクセのあるお肉とさっぱりした酸のコンビネーションがすごく良い!なんだかすごーーーく良い!一緒になることで別の何かを醸し出している感じ。
あ〜、実際の恋愛でもこういうのって理想ですよね〜〜(完全に蛇足ですがww)。

ちなみに、補欠としてもう一本イタリアワイン(サルデーニャ島のカリニャン種)を買ってあったのですが、これがなんとブショネ…。(補欠代役務まらん!)でも微妙なレベルだったので、「これってやっぱりブショネかなあ?飲めるかなあ?」と懐疑的に試しに一杯注いで、食べながら飲んでみました。が…やっぱりブショネだ。それを差し引くと多分、相性はいけてる感じ。でも「お互いが邪魔しない」みたいな距離。恋愛だったら、友達づきあいが長くて、それからなんとなく恋人になっちゃったパターン?または長年夫婦で寄り添って、特に刺激はないけれどそれで心地良い…みたいな?
それはそれで悪くないのだけれど、コット・プレとの方が断然素晴らしい。

とにかくコット・プレは「食べて飲む」ワインですね。単体で飲むのはちょっと辛い。
その日は一人だったので一本飲みきれず、お肉の方も少し大きかったので半分だけ焼いて、後日に持ち越し。

二回目のお肉は少し長めに火を通してみましたが、うーん、なんだろう、やっぱり魚をグリルしたみたいな風味がある。なんかよくわかんないけどアミノ酸?旨味成分のせい?
コット・プレも、タンニンがもうちょっと存在感を増してきて、旨味も出ている。これはやっぱり「旨味」という共通点があるから相性が合うのでしょうか?

いやあ〜美味しかった。コット・プレは何年か後にまた飲んでみたいです。

…という体験を、夫に話さずにはいられず、結局赤裸裸に報告。でもその報告の中で、値段については少しばかりごまかしたことはやっぱり内緒。